
若草山焼き
奈良は京都と並んで古代、日本の都としての栄華を極め、今も往時をしのぶ古都の伝統を残していますので、千年以上も昔から受け継がれているとされる行事や、連綿と受け継がれる多様な伝統行事が地域に根づいています。
大神神社のご神火祭り(繞道祭)と呼ばれているこの祭は1月1日の午前零時、宮司が神前で火打ちのウスと火打ちのキネできり出した清浄な神火を起こし、神火はやがて大松明に移され、この浄火を御神火といい、氏子らが持参した火縄に移して各家に持ち帰り、神棚の献灯と炊事などの火種とします。また、燃えさかる大松明は、三輪山麓の末社十八社を巡り、壮大な火祭り絵巻が奈良盆地の暗の中に展開されます。
1月 若草山焼きは古都奈良に早春を告げる伝統行事です。若草山に広がる炎が、澄み切った冬の夜空を真っ赤に染め上げる様子は壮観です。さまざまなイベントや式典、祭典なども催され、山焼き直前には、色とりどりの花火も打ち上げられます。
2月 長谷寺の修二会の締めくくりとして、だだおしの儀式が行われます。宝印授与の儀式に前後して、堂内に太鼓・法螺貝が激しく鳴り響き、大鬼面の赤・青・緑の三匹の鬼が現れ、こん棒を振り回し、大音勢で堂内を暴れ廻ると僧侶達が追い出し、堂外では鬼を追って男衆が、長さ約4.5メートル、重さ約120キロの巨大な松明を担いで堂の周囲を廻り、炎の勢いでもって鬼を退散させると、暴れ回った鬼どもは、いずこともなく消え去ります。だだおしは、大和に春を呼ぶ祭りでもあります。
日本一の山城「高取城」の城下町、土佐町には昔からの町家が多く現存し、当時の佇まいが感じられます。その土佐町では3月になると高取土佐町並み・町家の雛めぐりが開催され、土佐街道沿いの町家や商店約100軒が大切にしてきた雛人形を公開しています。またメイン会場では17段の雛壇に約500体の雛人形が並ぶ「天段のお雛さま」を楽しめます。
3月の東大寺二月堂修二会 (お水取り)のシンボルのような行事「お松明」は、「練行衆」が大松明を捧げて内陣を練りまわり、礼堂に突き出し、床板に投げつける。火の粉は飛び散り炎は天井近くまで燃えさかる。金剛鈴が鳴り、錫杖が振られ、法螺貝が吹き鳴らされ、堂内は修羅場と化す、全く壮絶な荒行です。
4月 金峯山寺 花供懺法会はご神木の山桜の満開を御本尊(蔵王権現)に報告する行事で、1000年の歴史を持つ金峯山寺の伝統法会です。奴行列を先頭に金峯山の鬼、お稚児さん、山伏、僧侶、最後は管長が乗られた大名籠と行列は続く、花の吉野ならではの行事です。
西大寺大茶盛は、鎌倉時代の僧の叡尊(えいそん)が西大寺を復興したお礼に鎮守社の八幡神社に茶を献じ、あまった茶を民衆に振る舞ったのが大茶盛の始まりとされます。当時、茶は薬として飲まれ、大きな鉢やたるで回し飲みしたと伝わっています。この大茶碗は直径30センチ以上もあるので、そばにいる二人の人の助けを借りて回し飲みするが、新型コロナの影響で、参加者がそれぞれ直径約20センチの茶わんで飲む形に変わりました。
當麻寺の本尊である當麻曼陀羅を蓮糸で織りあげた中将姫さまは、宝亀6年(775年)3月14日、二十五菩薩のお迎えを受け、現身のまま、阿弥陀如来さまの極楽浄土へ迎えられました。その故事に因んで行われるのが當麻寺練供養会式です。境内に来迎橋がかけられ、観音菩薩、勢至菩薩ら二十五菩薩が、現世に里帰りした中将姫を迎えて、阿弥陀さまの待つ極楽へ導いていく様子を再現します。
5月 興福寺 薪御能は、全国各地で行われている薪能(たきぎのう)の起源とされ、奈良を代表する伝統行事の一つです。貞観11年(869年)に興福寺西金堂で執り行われた修二会で薪を焚いて、その光で毎夜演じた薪猿楽が最も古く、その後数々の変遷を経て今日に至ります。現在の薪能では2日間で観世・金春・宝生・金剛の能楽四座による能と大藏流による狂言が演じられます。
7月 金峯山寺蔵王堂の蛙飛びは、不心得な男が山伏を軽蔑したため谷底に落とされるが、改悛の情が見えるので蛙の姿にして助けられ、蔵王堂で修法して人間に戻されたという筋書の行事で、山伏の修法の威力を示すものといわれている珍しい山伏行事です。
盆に踊られる風流踊りでは、十津川村の十津川の大踊りが知られています。小原・武蔵・西川の集落の踊りが名高く、それぞれ多少の違いがあるが、男が太鼓を打ちながら踊り、女は扇を振って踊るのが基本で、これに切子燈籠をつけた笹竹を持つ者が加わったり、男女掛け合いで唄ったり、あるいは顔を覆って変装をしたりという古俗を今に残しているのが貴重です。
夏の火祭りには、橿原市の東坊城のホーランヤがあります。圧倒的な大きさの松明が登場する松明行事で、厄払いの祭りと伝えられているが、行われる時期からすると、いわゆる盆の迎え火、送り火が変化したものともいえます。大松明は大きいもので高さ約3メートル、直径約1.3メートルで約450キログラムあり、担ぎ棒で支えて、30から40人で担がないと運べない大きさです。
12月 祭礼の格式の高さと数々の芸能が古式ゆかしく奉納される春日若宮おん祭は若宮様が参道脇の御旅所にお遷りになる「遷幸の儀」から始まります。正午からは平安から江戸時代に至る古式ゆかしい時代行列である「お渡り式」が奈良市街を練り進み、そのあと、御旅所で国の平安を祈念する祭典が厳粛に行われ、続いて夜遅くまで数多くの神事芸能が奉納されます。



奈良県の花は奈良八重桜
奈良県の鳥はコマドリ
奈良県の木はスギ